先日、立春朝搾りを買いに新宿に行った時に、以前から食べてみたいと思っていた「久寿餅」を買ってきました。
普通、くず餅というと葛粉で作った透明な衣のお餅を想像しますが、今回ご紹介するのは、小麦粉で作った久寿餅です。
メインサイトである旅ブログで川崎大師に行った時の記事を書いていたら、この久寿餅というものを知り調べてみると、関東では川崎大師と東京の亀戸天神の久寿餅が有名でした。
どちらも行ったことがあるのにそんな有名なお土産に気付かず、食べる機会を逃してしまっていました。
久寿餅は東日本発祥の小麦粉で作られたもので、西日本(奈良)発祥の葛餅と区別するために「久寿餅」と表記することがあるそうです。
なんでも小麦粉を発酵させて作っているお餅で、和菓子では唯一の発酵食品なのだとか。
それならば一度食べてみたいと思い、川崎まで買いに行こうかと思ったのですが、東京の亀戸天神の船橋屋のくず餅なら新宿で買えるということで、用事のついでに買ってみました。
船橋屋のくず餅 小箱24切 790円

箱には、文化2年(1805)、亀戸天神の境内で船橋屋の初代が故郷下総(船橋)名産の小麦粉を使って作ったくず餅であることが書かれています。
450日間熟成したもので、独特の香りがあることが箱の裏面には書かれていました。発酵した香りが気になる場合は食べる直前に冷蔵庫で1~2時間冷やすと、和らぐのだそうです。

透明な葛餅と違って白色です。
個人的には発酵食品独特の香りは感じられませんでした。
添加物は一切使っておらず、小麦澱粉、糖蜜、きな粉、砂糖、水飴、黒蜜のみです。

結構なボリュームです。船橋屋のホームページでは1人前~1.5人前と書かれていますが、2回に分けても1人では十分過ぎる量です。

賞味期限は2日間なので早く食べなければならないのですが、1人で食べるにはかなりの量です。
黒蜜ときな粉をかけていただきます。

最初に何も付けずに食べてみると、ほんのりとした発酵した香りと独特の歯ざわり、食感があります。
香りはお麩のような香りで、小麦粉といった感じはしませんでした。歯ざわりはプルンとしているのですが、噛むともっちりとした食感があり、不思議な感覚です。
黒蜜ときな粉を付けて食べると、久寿餅の味が消えてしまい食感だけになってしまうので、黒蜜きな粉のお餅になってしまいます。
発酵臭が苦手なお客が多く、発酵の香りを抑えて作っているようですが、個人的には昔ながらの発酵臭の効いたくず餅を食べたいと思いました。

くず餅の発祥は、久兵衛という人が作り方を発見したから久寿餅といわれるようになったとされています。
大雨で(洪水とも)、倉庫に保管していた小麦粉が駄目になったのを、飢饉が起きた時に思い出したのが、きっかけといわれています。水に濡れて駄目になってしまった小麦粉が1年だった2年だったか、その間に発酵していて、そのままでは臭いがきつくて食べられないため、蒸して火を通したら食べることができたのです。そのおかげで飢饉の時に多くの人に分け与えて感謝されたという話があります。
くず餅は精進料理とも関りがあり、お坊さんが食べるお麩を作ったあとの小麦の残りで作られたという話もあるようです。小麦粉を水で練って搾るとグルテンと澱粉の含まれた水分に分かれ、固形のグルテンで麩を作り、小麦澱粉でくず餅を作るのだとか。小麦粉からお麩とくず餅が作られるとは、小麦粉からはいろいろなものができるのですね。

興味を持たれてた方は、亀戸天神や川崎大師に行った時に試してみてはと思います。お土産用だけでなく店内で食べられるので、どんなものか食べてみるのもおすすめです。

そういえば、池上本門寺にも数店舗くず餅のお店があるようです。東京駅にあるエキュート東京には船橋屋こよみ(船橋屋の姉妹ブランド)があり、そこでも買えるようなので東京に来た際のお土産にもおすすめかと思います。
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