山口県岩国市にある酒蔵・八百新酒造のお酒、雁木(がんぎ)。
明治10年(年)創業の酒蔵です。

父の日ギフトとして手ぬぐいの付いたものが売っていましたが、シーズンが終わり値引きされていたので買ってみました。
定価だと3,300円。

酒米は山田錦

手ぬぐいをほどくと、中身はこんな感じです。

香りはフルーティです。

一口飲んでみると、すっと口に入り、そして上品な甘さがあります。
後味はさっぱりで、酸が残ります。
個人的に好きなタイプの、飲みやすくて美味しいお酒です。


雁木という銘柄は、ホームページを見ますと、純米酒しか造っていません。
「余計なものを足したり引いたりせずシンプルに真正面から酒造りに向き合う」という理念からそのようにしているのだそうです。
知らなかったのですが、一般的なお酒は、出来上がったお酒を活性炭素を用いて濾過しているのだそうです。
雁木はそうしたことをせず、搾りあがったお酒が二次加工を必要としないように完成度を高くして仕上げていると、ホームページには紹介されています。

酒蔵の歴史も興味深いもので、戦中戦後の米不足によって原料米の入手が困難になると、政府は日本酒の原料として醸造アルコールや糖類等の副原料を大量に使用する三倍醸造法というものを奨励したそうです。
全国の生産者はその方針に従わざるを得なくなったのですが、これまで純米酒しか造ったことがなかった杜氏は不慣れな三倍醸造法になかなか適応ができず、他の酒蔵と比べて品質の芳しくない酒を出してしまい、地元での評判を落としシェアを落としていったようです。
一旦、美味しくない酒としてのイメージを定着させてしまうと、造れども売れずという悪循環が続き、地元での評判のいい酒蔵との差は広がる一方で、また、在庫が溜まっていき終には酒造の継続が困難になるほどまでに経営が逼迫したのだそうです。

今ではいいお酒を造ることで知られるようになっていますが、そういった歴史があったことを知りました。
また、戦争の物資不足により、当時「まがいもの」とされていたお酒を造らざるを得ず、その製造に対応できずに蔵を畳んだ酒蔵が日本の各地にあったであろうことも知ることができました。
中には、そんなものは酒ではないといって蔵を畳んだ酒蔵もあったのかもしれません。
歴史の長い酒蔵にはいろいろなエピソードがあり、面白いものです。
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