今回は「江戸甘味噌」を紹介したいと思います。

あまり聞き慣れない味噌かと思います。戦時中に生産が中止され、その後復刻されるようになった、江戸時代に江戸の町で食されていた甘いタイプの味噌です。
スーパーで599円(税抜)で買いましたが、定価より少し安くなっていました。

特徴は、甘くて塩分が少ない点です。
製造の際に、大豆よりも沢山の米麹を使うことで塩分が減り、甘みのある味噌になります。
原材料は米、大豆、食塩と酒精。

甘すぎると感じるようだったら、普通の味噌を入れて調節して好みの味にするといいようです。
歌舞伎のセリフにも入っているちくま味噌の江戸味噌ですが、当時の味噌である江戸味噌の中でも麹をよりふんだんに使った贅沢なものだったようです。江戸甘味噌と江戸味噌は厳密には別のものらしいです。

江戸味噌は庶民が食していたもので、大豆と同じくらいの米麹を使った甘くて塩分の少ない味噌ですが、発酵期間が短く短期で作れるものでした。江戸時代になると江戸では人口が増え味噌の消費が増え、製造場所を確保するのが難しくなります。短い期間でより多くの味噌を作るために塩を減らし大量の米麴で一気に発酵させ、2週間~20日、夏場なら10日で作ったようです。
その江戸味噌よりもさらに多くの米麴、大豆の2倍もの量を使うらしいのですが、を使った味噌が江戸甘味噌です。大量の米を使うことから贅沢なものであり、庶民が気軽の食べたのは江戸味噌の方だとされています。
厳密にこの味噌が江戸甘味噌なのか江戸味噌なのかは分かりませんが、江戸時代にそういった味噌があったということです。

さて、味の方ですが香りがすごいです。
濃厚で甘く、しょっぱくないのでそのまま食べれてしまいます。

試しに牡蠣の味噌煮込みを作ってみましたが、甘ったるくてちょっと苦手でした。

味噌汁にも使いましたが、個人的にはそのまま食べる方が好みです。
味付けに使うというよりは、味噌を食べるといった食べ方がいいのかと思います。

きゅうりや田楽なんかがいいのかと思います。

酒と味醂を混ぜて味噌だれにすると田楽に合います。

味噌だれなら多少味噌が乾燥して固くなっても使えるので、便利です。

レンジで軽く温めて溶かせば、いいつまみになりますし。

味噌だれは焼き魚にも使えて便利です。
身が崩れてしまいましたが、鰆と。

ブリの切り身にもいいです。

牡蠣の味噌煮込みはいまいちでしたが、牛すじ煮込みなんかもいいのかもしれません。下処理が面倒ですがモツ煮込みも。
季節の野菜を入れた味噌汁や豚汁におすすめなようですが、塩分が少ない分たっぷりと味噌を入れるのがポイントらしいです。
調べてみると、江戸の神社やお寺の参道にある川魚料理のお店では江戸甘味噌が使われることが多かったようです。江戸湾で獲れた新鮮な魚を楽しむために欠かせなかったようなのですが、江戸っ子にとって魚の中まで完全に火を通してしまうのは粋ではなかったのだとか。そこで江戸料理では、煮詰めて味をしみこませない代わりに周りのタレの味を濃くするのですが、普通の味噌では味を濃くしようとして味噌の量を増やせば塩辛くなってしまいます。一方で江戸甘味噌は塩分が通常の半分以下なので、たっぷりと味噌を使う事が出来、そのため江戸の味噌料理には必ずと言っていいほどこの江戸甘味噌が使われていたそうなのです。
今でも昔から続く川魚料理のお店では、江戸甘味噌が使われているのだとか。
散策した時に江戸甘味噌を使ったお店があれば入ってみたいものです。
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