断食合宿体験記

体験談
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以前(2020年頃)、2日間の断食をしたことがあります。1人で温泉に泊まって、1泊2日のプチ断食合宿をしました。時間にして50時間、水だけで過ごしました。断食をする前は、断食中にこういう気持ちになるのではないかとか、断食が終わった後はああいう体の変化があるのではないかと、色々な予想をしましたが、実際にやってみると予想に反して色々なことを思いました。

今回は、2日間の断食で体や気持ちにどのような変化が起きたのか、自身の体験を書いてみたいと思います。断食をしたきっかけや断食のメリットを、ついでに書いているので、断食の様子だけを知りたい方は飛ばしてください。

プチ断食をしたきっかけ

断食に興味を持ったきっかけは、1日1食に憧れたことでした。食事による体質改善をしていた時、腸や体にいい食事法をネットで調べていたら、1日1食という食生活を知りました。有名な芸能人や起業家が取り入れている習慣として有名で、1日に1食しか食事を摂らないことで、胃腸が休むことができて、細胞が若返り、体の調子が良くなるという食事法です。食事の回数を減らすことで消化にかかるエネルギーがなくなり、体が元気になり、体重が減り、若返ると、まさに一石三鳥の食習慣です。

早速1日1食を始めてみましたが、実際はハードルが高く、なかなかできませんでした。休日は難なく1食で過ごせるのですが、仕事のある日は、食べないと体がもたないという強迫観念と仕事のストレスで昼食を食べずにはいられませんでした。それなりに体を動かし、色々な人と話す仕事だったので、仕事に支障が出るのが怖くて昼食を抜くことはできませんでした。

そんな日が続いたある日、2日間断食をすれば1日1食できるようになるのではないかと思いました。2日食べずに済むのなら、忙しくても1日食べずに済むのではないか。1日食べずに済むのなら、1日1食なんで簡単なのではないか。そんなこと思うようになり、いっそのこと2日間断食をして、強制的に1日1食の食生活に変えてみようと、挑戦することにしました。

仕事の休日に環境を変えればできるような気がしました。山奥や田舎なら売店がないので素泊まりなら食べようがありませんし、ぬる湯のある温泉ならのぼせないので、いくらでもお湯に浸かっていられて、空腹を紛らわせられそうです。温泉効果で日頃の疲れが出て眠くなれば、寝て過ごして空腹を紛らわせばよさそうです。

そんな訳で、1泊2日の一人断食合宿をすることになりました。

断食のメリット

断食の経過を書く前に、断食のメリットについても簡単にふれておきたいと思います。断食には様々なメリットがあるといわれていますが、次のことがよく挙げられます。

内臓を休ませる

食べないことで、内臓を休ませることができます。現代人は食べ過ぎで、過食や偏食によって消化器官などの内臓を酷使しがちな傾向にあります。人は食べたものを消化するのに、想像以上のエネルギーを使っています。断食することによって、無駄なエネルギーを使わず、内臓に休息を与え、本来の姿に回復することができます。

抵抗力がつく

胃腸をはじめとした内臓器官が休むことができ、回復することで免疫力が高まります。また、断食して空腹になると、人の体は危機的な状況に反応し、自然に自分を守ろうとして抵抗力を強めます。細胞が活性化するので、アンチエイジングにもなるといわれています。

身体が軽くなる

食べないことで体重が減るので、体が軽くなります。また血流・血行がよくなるので、体の調子が良くなり、体が軽く感じるようになります。

デトックス効果がある

余分な脂肪やコレストロールを排出することができます。これにより体重が減り、血行がよくなり、新陳代謝がよくなるといわれています。

断食開始

季節は10月。下部温泉にある湯元ホテルに泊まり、2日間の断食をします。空腹を感じたり喉が渇いた時は水は飲むようにします。

断食開始

13:30。1泊2日の合宿の前日です。職場で断食前の食べ納めの昼食を済ませます。ご飯を大盛りにして、実質2人分の量の食事をとりました。13時に食べ始め、13時半には食べ終わりました。断食前は少しずつ食事の量を減らした方がいいといわれていますが、しっかり食べておけば夜にお腹が空くことがないので、食事の量を増やしました。

断食開始10時間

23:30。昼食をとってから10時間経過です。しっかり食べたおかげでお腹は空きません。仕事の疲れもあり、難なく眠りに就きました。

断食開始18時間

6:30。一人旅のため早朝から電車に乗ります。4時半に起きて旅の荷物を準備し、5時過ぎに家を出ましたが、体調は問題ありません。心地よい空腹を感じますが、辛さはないので、特に気にはなりません。

空腹には心地のよい空腹とそうでない空腹があります。心地のよい空腹はお腹が空いたと意識するものの、食べたいとは思わなくて済む空腹です。頭も落ち着いていて、作業や仕事が捗るいい状態です。もう一つの空腹は、お腹が空いていると意識した途端に食べたくて仕方がなくなるもので、頭が散ったり落ち着きがなくなり、仕事や作業に支障がある類です(人体の正常な反応ともいえますが)。

断食開始24時間

13:30。断食前に食事を摂ってから24時間が経過しました。旅先で知らない土地を歩いていることに興味や関心が向いているので、空腹はそれほど気になりません。お腹が空いているな、でも心地いいなと思う程度です。坂のある道を歩いて往復2時間の散策をしますが、体はしっかり動きますし頭もぼうっとしません。

宿のチェックイン前に時間が空いてしまったので駅の待合室で座っていると、眠くなって10分ほど寝ましたが、起きたら体力が回復しました。1日経っても問題なく体が動きますが、多少慣れているからです。ダイエットを始めて食事制限をし始めた頃は、晩御飯を抜きにして翌日散策したら、空腹で体が重く、頭もぼけっとして外を歩くのは危なっかしい状態でした。

駅や博物館の階段を上り下りするのも足がだるく、パネルを見ても頭に説明が入らず、ものを考えるにも思考が遅い状態でした。食事制限をし始めた時は、少しの量を減らすだけでも空腹に悩みましたが、段々慣れてくると気にならなくなりました。

断食開始30時間

19:30。断食してから30時間が過ぎました。素泊まりなので宿では食事が出ません。チェックインした時に部屋の机に置いてあるお菓子は目につかないようにバッグに入れました。湯治のできる温泉宿なので部屋には飲泉できる温泉の水が置いてあり、それを飲んで空腹を癒します。

温泉は冷泉という30℃くらいの冷たいお湯で、プールの水を少し温かくした程度の温度です。温かい湯舟と違ってのぼせることがないので、いくらでも浸かっていられる心地よいお湯です。温泉に浸かって考え事をしては部屋に戻ってブログの記事を書いたりして、また暇になったら温泉に浸かってと過ごします。

テレビを点けると食べものが目につくので、観ないようにします。欲望をかりたてたり煽るないような番組が多いので、変な刺激を受けないようにテレビは観ないようにしました。宿にあるビールの自販機が気になりましたが、値段が高かったおかげで買わずに済みました(350ml缶が400円、500ml缶が550円)。

23時頃、早めに寝ます。

断食開始38時間

4:30。断食してから38時間が経過です。2日目の朝を迎えます。温泉に浸かる以外に大してやることもないので遅くまで寝ようとしましたが、早く起きてしまいました。食事を制限している時も感じることですが、食べ過ぎないようにすると目覚めがよくなります。睡眠も質もよくなり、短い時間で十分になり頭もしっかり働きます。食べたものを消化するのに体力を使わないからだと思います。

昨日は水以外は口にしていないので、いつもより長く眠れませんでしたが、目覚めがよく頭もしっかりしています。

断食開始40時間

朝風呂に行きますが、階段の上り下りをすると足にだるさを感じます。昨日は温泉に浸かって寝たのに、体には疲労感が残っているような気がします。頭の方は快調で、温泉の中で考え事をしたり記事を書いたりするのに何ら支障はありません。

6:30。断食してから40時間が経過です。ここから体が疲れ始めます。部屋に戻ると頭がぼうっとし始めて、やる気がなくなってきます。省エネモードに切り替わってきたのが体感として分かります。これから1日この状態が続くことが予想され、仕事の作業パフォーマンスを考えると断食は1日で十分という結論に達します。

ただ、今日は休みですし、どれくらいできるか試してみたい気もするので、もう少し続けてみることにします。気晴らしに温泉に入りますが、状況は変わらず頭はぼうっとしています。冷泉も冷たく感じてきて長く入っていられなくなりました。

8時に宿をチェックアウトして他の場所に散策をしに行きます。歩くのは苦痛ではなく普段と変わらず、頭の回転が普段よりも少し鈍いなと思うくらいです。下部温泉駅から電車に乗って甲府駅で乗り換え高尾に向かい、春日居町駅で降りて根津記念館に向かいます。

断食開始44時間

10:30。断食してから44時間経過です。根津記念館で素晴らしい日本建築と庭園を見て歩きますが、写真を撮っていると立ちくらみが起きます。しゃがんで写真を撮った後に立ち上がると、視界が白くかすんでくらくらします。数回ふらつきながら建物内を見て回りますが、どこか他人事の気がします。

1日1食や断食をすると感じますが、心地よい空腹が度を過ぎると、食べたいという欲求がなくなり、危険な状態になります。生命維持のためには食べないといけないのに、どこか他人事で後で食べればいいやと思うようになります。

根津記念館には資料館があり、事業家の歩んだ道をパネルで辿っていきますが、意外にも内容が頭に入りました。撮影禁止でしたが後になってからも内容を覚えていたので、記憶に関しては機能は変化していません。頭はぼんやりとしていますが、会話をしたり見たもの聞いたものを理解することは問題ない状態です。

その後、歩いて25分の場所にある日帰り入浴のできる温泉旅館に行きますが、足に力が入らず40分くらいかけて辿り着きます。自分では難なく到着した気がするのですが、時計を見ると余計に時間が経っています。

そして温泉に着いたものの、急遽休みになっていて、ガクっと体の力が抜けます。仕方ないので駅に向かいますが、電車の時間がギリギリなので急いで歩くと、意外と歩けます。ただ、歩くのが辛く、苦痛でした。無事電車に間に合い席に座ると、気分は楽になり頭も働きました。ずっと座っている分には頭はまだまだしっかりしています。

断食48時間経過

13:30。断食してから丸2日が経ちました。嬉しさはまったくなく、何も2日もやる必要はないなというのが実感です。電車に乗っている時に、途中からミニスカートの若い綺麗な女性が目の前に座りましたが、全く気にならなくて不思議な感覚でした。普段なら気になったり、見ないようにしようと思ったりして、本を読んだりスマホを見ていても注意散漫になるのですが、全く気にならず本の内容が頭に入ってきます。

断食をすると、食欲だけでなく睡眠欲と性欲もなくなるのは面白いものです。その他の余計なことも頭からなくなります。

余計な欲がなくなり考え事や読書に集中できるのを体験すると、高僧が粗食である理由も何となく分かってきます。我慢しているというのではなく、そういう状態の方が仏の教えを学んだり瞑想するのにいい状態なんだろうな、なんてことを思いました。

断食50時間経過

15:50。断食してから50時間経過です。実は温泉に浸かっている時にコンタクトレンズを失くしてしまい、家に帰る前に新しく買う羽目になりました。眼科の診察を受けてコンタクトレンズを付けて装着感を確認してと、何だかんだ家に帰ったから食べものを口にしたのは16:30で、51時間が経ってからでした。

食後

2日振りの食事は体に負担のかからないように、胃腸に負担のかからない消化のよいものを口にします。帰ってからすぐに蜂蜜を口に入れ(ちゃんとした品質の蜂蜜は、吸収が早く、胃だけでなく口の中からも吸収され、糖がすぐにエネルギーに代わるといわれています)、温かい味噌汁と、豆腐と納豆と卵を混ぜたものを口にしました。その後、30分以上体を休ませてから、鶏肉のささみやお米などを食べました。

断食後の食事は回復食になるので、胃腸に負担をかけないものがおすすめとなります。肉より魚、魚なら白身のもの、刺身より煮たもの、肉なら脂身の少ないもの、できるだけ小刻みになっているもの、の方がいいとされています。豆腐やすりごま、煮物、海藻もいいようです。

翌日

体調は普通よりもやや良くない状態。すこぶる快調とはなりませんでした。睡眠をしっかりとったのですが、体の重さが残ります。特に足が重く、階段を上ると太ももが重く、疲労感がありました。仕事にも支障が出るくらい力が入らず、体が調子を取り戻すのに時間がかかりました。夕方から食べ始めても、翌日に体が本調子にはなりませんでした。

2日以上の断食をすると回復に丸1日はかかることが、実体験から分かりました。連休を使って断食をするのなら、1日目だけ断食して、2日目は朝からおかゆやみそ汁を飲み始め、感覚を空けて徐々に口に物を入れるようにしながら、体を元の状態に戻すのがいいのかと思います。途中昼寝をしたり、体を休ませながら。

断食はダイエットというよりかは、胃腸を休ませたりデトックスのためにやるものなので、そのような流れでやるのがいいのではないでしょうか。

達成感もない

感想

50時間の断食をしてみましたが、特にやる必要はなかったな、というのが素直な感想です。とにかく身体が重いです。活動をするには支障が出ますし、回復にも時間がかかります。頭を使う仕事がメインならいいのかもしれませんが、ある程度歩き回る仕事をしている自分にとっては、休日の活動にも仕事にも支障の出るものでした。

おかげで胃腸と肝臓を休ませることができましたが、それは普段の節制でも効果があります。ただ、50時間水以外口にしなかったことで、1日1食への抵抗はなくなりました。1日1食は個人的にはおすすめできるものではありませんが(別の記事で1日1食について書いています)、50時間の断食のおかけで、1日1食を始めることできました。

以上が2日間の断食をやってみた感想です。予想に反して、達成感はありませんでした。

おまけ

余談ですが、断食に対する好奇心は増しました。断食が2日経つ辺りで、食欲に執着しないこの状態が続くと、人間の精神状態はどうなるのだろうと気になりました。食べない状態が続くと、食欲・性欲・睡眠欲がなくなります。

その他の欲望も減り、街を歩いていても、これが欲しいあれが欲しいという物欲が湧きませんし、自分がどう見られているかといったことも気になりません。しかし同時に、出世したい、お金持ちになりたいという欲望も失せるので、モチベーションが下がります。

断食と精神の関係は興味深いもので、長い人間の歴史の中で断食は宗教と深く関係しています。仏陀もキリストもマホメットも、宗教者として名を残した人物(神となった者)は皆、断食をしています。悟りを得た多くの宗教者が断食をしており、また現在も高僧をはじめ定期的に断食をしているお坊さんは全国各地にいます。

今回2日にわたる断食をしてみて、欲にとらわれない自分、落ち着ている自分、不安がない自分、何だか幸せな自分を感じることがありました。心地よさがあり、一見これがいい精神状態に思えますが、これは生きていく上での支障になるともいえます。お腹が空いたら食べ物を探せばいい、寝る場所は雨風凌げればそれでいい、なんてことになりかねません。自分の生活や人間関係を投げ捨てて、修行僧になるなんてこともありえます。

興味深い精神状態ではありますが、そうなることに躊躇したり恐怖を感じます。蛇足となりましたが、断食をしている聖職者の中には我慢している訳ではなく、本人が望んで心地のよい精神状態になっている人がいるんだなと、プチ断食で感じました。

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