皆さんはぬる湯というものをご存知でしょうか。僕自身、ぬる湯に浸かるようになってから、心も体も元気になり、生活が格段とよくなりました。体への負担が少なくリラックス効果も多いので、一人合宿の時にもおすすめです。
今回はぬる湯の魅力を書いてみたいと思います。
ぬる湯とは
ぬる湯とは、人肌程度の温度の温泉です。きちんとした定義はなく、人によってその範囲はまちまちで曖昧ですが、よく34℃~39℃くらいの温泉とされています。個人的には34℃~37℃くらいの温泉がぬる湯になるのですが、30℃~40℃の広い範囲の温泉をぬる湯とする人もいます。
そもそも温泉自体その定義が曖昧で、環境省によると温泉の定義は摂氏25度以上(温泉源から採取されるときの温度)とされています。もう少し細かく分類すると、鉱泉分析法指針によると泉温(地上に湧出したときの温度、または採取したときの温度)により、25 ℃未満を冷鉱泉、25 ℃以上 34 ℃未満を低温泉 、34 ℃以上 42 ℃未満を温泉、42 ℃以上を高温泉と分類できますが、25℃以上であれば温泉ということには変わりがありません。
環境省の指針から分かるように、ぬる湯というのは明確な基準があるものではなく、低温泉と温泉あたりの温度の温泉となります。

ぬる湯のメリット
ぬる湯に浸かることで、通常の温浴よりはさらに大きな効能が得られます。どのようなメリットがあるのか、一つずつ書いて行きますが、これはあくまでも個人的な見解です。その辺りのことを考慮していただければと思います。
自律神経を整える
ぬる湯に浸かると副交感神経が優位になります。人間には交感神経と副交感神経があり、この二つの状態のバランスがいいと体の調子もよくなります。交感神経は緊張や興奮のための神経で、前向きに取り組んだり精力的に活動する際のアクセルのようなものです。副交感神経はリラックスのための神経で、働き過ぎたりやり過ぎたりして体を壊さないようにするブレーキのようなものです。この二つの神経がバランスよく活動してはじめて自律神経が整い、体がいい状態に維持できます。
連日仕事が忙しかったりストレスが溜まっても我慢し続けていると、交感神経だけが活性化しバランスの悪い状態になります。動悸、息切れ、頭痛、腹痛、不眠などの症状が出て体を壊したり、精神的に参ってしまい鬱になってしまったりと、バランスが崩れると心身に支障をきたします。家にこもって寝てばかりというような副交感神経だけが常に優位になっている状態もまたバランスが崩れている状態で、無気力や免疫力の低下などよくない状況になります。
ぬる湯に長時間浸かると自律神経が交感神経から副交感神経に切り替わるので、体の緊張がほぐれリラックスし、睡眠も深くなります。
体への負担が少ない
のぼせないので疲れませんし、高血圧や血がドロドロになるといった、あつ湯に長湯した際の入浴リスクを減らすことができます。人肌程度の、不感温度のお湯に浸かると副交感神経が優位になるので、心拍数が下がり血管が拡張し、リラックスできます。
胸から上をお湯から出すことで心臓や肺への負担を減らすことができますので、半身浴のような浸かり方がおすすめとなります。

疲れが取れる
通常の入浴でも疲れが取れますし、水圧によって血管が末端まで広がり血の巡りがよくなり、新陳代謝がよくなるので体は楽なりますが、ぬる湯だと長時間お湯に浸かることができるので、その効果に加えてさらに体の疲労を減らすことができます。長時間浸かることによって体の芯から温まり、胃腸が活発にもなります。
お湯に長く浸れば浸かるほど、それだけ体も頭も休ませることができます。浮力による筋肉や骨への負担はお湯に浸かっている時間が長ければそれだけ減るので、関節痛や腰痛が軽減します。また、スマホを見たり音楽を聴くことを止められるので、頭の中を休ませることができます。やることがないので、半ば強制的に体を頭を休ませることができます。
大量の情報に触れそれを取捨選択している現代人は、気づかぬうちに良くも悪くも脳に負担をかけています。たまには情報が入ってくるのを止めて頭を休ませる必要があるのではないでしょうか。頭をゆっくり休ませ、副交感神経が優位になりリラックスした状態で安眠すれば、頭も体も疲れを取ることができます。
リラックスできる
人間の本能なのか、水の中にいると落ち着くものです。体を洗って綺麗にすることも気持ちのいいものですが、それは感覚的なものだけでなく、昔の禊(みそぎ)や湯垢離(ゆごり)といった精神文化が少なからず頭にあるからなのかもしれません。体を清潔にしてお湯の中にいることで、安心感や気持ちよさ、心地よさがあり、リラックスできます。せわしない日常から離れて心を休ませることもできますし、目の前にスマホやテレビもないので頭を休ませることができます。
ぼう~っとすることで脳のゴミが取れ頭がクリアになっていきますし、頭から余計なものがなくなればやる気が出たり前向きになったりします。精神衛生上ぬるいお湯に長めに浸かることはいいものなのです。

頭がクリアになる
そして個人的にぬる湯が好きな理由の一番といってもいいほどのメリットが、頭がクリアになることです。長い間お湯に浸かりぼんやりすることで頭のゴミがなくなり、次第にはっきりしてきます。頭がすっきりするので、考えたいことが捗ったり頭の中が整理されたり、いいアイデアが浮かんできたりと、生産性が上がります。ぬる湯ならいくらでも浸かっていられるので、長く考え事ができます。
これは一人合宿の時にもおすすめです。温泉に越したことはないのですが、温泉でなくてもホテルのユニットバスでぬる湯に長く浸かると頭の働きがよくなり考え事が捗ります。血の巡りがよくなって脳が活性化しているのもあるのでしょうが、将来のことを前向きに考える場である一人合宿にもぬる湯はおすすめです。もちろん家でもぬる湯に浸かれますが、普段とは場所を変えた方がより効果がありますし、ホテルより温泉の方がさらに効果があると思います。
温泉本来の効能を取り込める
ついでですが、ぬる湯は温泉本来の効能が得られるともよくいわれます。源泉が50℃などの熱い温泉だと、水を入れて人が浸かれる温度に下げる必要があり、加水することで体にいい成分が薄まってしまうのです。逆に源泉のままだと成分が強くて体に毒になるともいわれているので、一概に加水=効能が薄いとはいえないのですが、全体的には加水しない源泉の方が温泉本来の効能が体に効くとされてます。
源泉かけ流しのぬる湯なら長時間浸かっていられるので、温泉の有効成分を享受することができます。温泉の効能を気にするのなら、循環タイプの温泉は避けた方がいいといわれています。温泉は湧き出して空気に触れた時点で少しずつ酸化して成分が劣化していくので、循環させているお湯には効能がないというのです。脱衣所に貼ってある温泉の成分表や効能は泉源から湧き出た時点のもので、また循環させている温泉には菌が繁殖しないように塩素を入れているので、体にはよくないとされています。温泉本来の効能を得たいのであれば、源泉かけ流しがいいといわれるのはそのためです。
ですので(長くなりましたが…)、源泉かけ流しの湯口から注がれるぬる湯はには、まだ酸化も劣化もしてない新鮮さがあり、体にいい成分を期待できます。せっかくならいい湯に浸かりたいと思うものですが、あまり神経質になると心も休まらないので、参考程度に知っておくといいのかと思います。

ぬる湯に惹かれたわけ
せっかくなので、ぬる湯に浸かるようになったきっかけも書いておきたいと思います。まったく個人的なことなのですが、同じような人がいて参考になればとおもいます。
僕自身、生まれつき寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)というものがあり、熱い所から冷たい所に移動すると体が痒くなります。冬の露天風呂で気持ちのいい熱いお湯に入り、湯船から出ると外の冷気で体が一気に痒くなり、真っ赤に腫れて蕁麻疹の症状が出てしまいます。温度差があればあるほど症状が悪くなり、酷いと立ちくらみがして倒れてしまいます。夏でもお湯が熱いと出た時に体が痒くなり、倦怠感が出て余計疲れてしまいます。
普段の生活ではほとんど支障はない程度であり、軽い方なのですが温泉に入れないのだけは残念でした。仕事柄、夏よりも冬の方が忙しく体の負担が増えて疲労が溜まるだけに、温泉に入れないのは精神的にも辛いものがありました。もちろん家でぬるいお湯に浸かって体を休ませることはできますが、解放感やリラックスは温泉に比べるとかなり下がります。
しかしある時、旅がきっかけでぬる湯というものを知り、そもそも体温と同じ不感度のお湯なら体が痒くなることはないのではないかと思い興味を持ちました。調べてみると意外にもぬる湯は各地にあるものです。ちょうど疲れの溜まる冬だったのもあり、さっそく山梨県の下部温泉や新潟県の栃尾又温泉に行ってみたら、体が痒くなることもなく疲れを癒すことができました。
ですので、個人的にはぬる湯の一番のメリットは、寒冷蕁麻疹持ちの自分でも浸かれるということになります。寒冷蕁麻疹は人によって程度の違いがあるので無責任なことは言えませんが、僕のような症状の軽い人であれば、ぬる湯を楽しむことができると思います(普段の生活でも部屋の寒暖差や外気、雨で症状が出る方は、温泉が体にいいからといって症状が出ない訳ではないので、入らないようにしてください)。

さいごに
ぬる湯に興味を持った方は是非とも浸かってみてください。あつ湯が好きでそれほど興味を持てない人は夏にぬる湯に入ってみるのもいいのかと思います。メインサイトで評判のいいぬる湯を紹介していますので、そちらも見てみてください。実際に自分が浸かっていいお湯だと感じた場所も紹介しています。
大きな仕事が一段落して静養する時にぬる湯にゆっくりと浸かるのはおすすめですが、大きな仕事の前にじっくりと浸かって体調を整えるのも大事だと思います。きとんと体のメンテをして、心身ともにいい状態にしてから仕事に臨めば、仕事でもいい結果を出すことができるのではないでしょうか。
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