電車日本一周の旅は、正直しんどかった。
名所を巡る楽しさよりも、毎日ひたすら移動し続ける生活のきつさが勝り、肉体的にも精神的にも疲れるものだった。
最初こそ新鮮だったものの、疲れは蓄積し、睡眠も不足しがちになり、思うように進まない日も増えていく。
旅を始めてすぐに、思っているよりも大変だと感じた。
旅を続ければ慣れるだろうと思ったが、続ければ続けるほど、それは増し、楽しさより辛さや退屈さが、日を追うごとに大きくなっていった。
本当は最低でも2カ月は旅を続けるつもりだった。
だが、あまりにしんどくて、結果的に52日間で切り上げることにした。
旅を終えた直後の率直な感想は、
「もう二度と電車日本一周なんてやらない」
「正直、おすすめもできない」
というものだった。
今回は、何がそこまで大変だったのかを振り返って書いていきたい。
下調べが大変
寝床を確保
一番大変だったのは、下調べ。
とにかく時間がかった。
「なにを調べるのにそんなに時間を使うのか」、というと、一番は泊まる場所。
ネットカフェ。
ネットカフェのある駅を探すのだが、最低でも2店舗ある駅を探さねばならない。
お店が閉店している可能性があるからだ。
ネットで営業中と表示されていても、実際に行ったら閉店している可能性が大いにあった。
この記事を書いているのは、旅が終わって10年後。
今ではそんなことはないが、当時はあった。
だから万が一、閉店していれば、別の店に移動できるように、もう一店舗抑えなくてはいけなかった。
当時はまだネットカフェはそこそこあったが、一つに駅に2店舗あることはそう多くはなかった。
地方ならなおさら。
田舎は車が足だから、駅から歩いて行ける店自体、多くない。
そしてネカフェでネックになるのが、シャワー。
シャワーの店舗も当然ある。
近くに銭湯があればいいが、2015年当時でさえ、駅の近くに銭湯があることは、珍しかった。
そんなこんなで、「寝床」を抑えるのに時間がかかった。
毎日の予定を組む
次に下調べで時間がかかるのが、その日の予定を組むこと。
宿泊地が決まれば、それに収まるように旅の行程を決める。
城を観に行くのなら、駅からのアクセス時間と見学の所要時間、場合によってはバスの乗り換え時間などを調べる。
1日に観て回れる数は限られているから、大抵、行きたい場所を削ることになる。
自分の場合は、博物館や資料館に行くことが多かった。
営業時間は9時~18時のところが多く、1日のうち旅に使える時間は少ないと感じた。
折角予定を組んでも、休館日があれば、また組み直さないといけない。
休館日はその場所によってまちまちで、予定に収まらないことが少なくない。
プランBも決める
毎日の行程は、最低でもプランAとプランBの2つを用意した。
乗り換えに失敗した時のためだ。
道に迷ったり、失くしものをしたり、電車やバスが遅延して乗り換えがうまくいかなかったことが、旅の前に想定できた。
そうなった時に、何もない田舎の駅で路頭に迷わないために、別の予定を用意した。
バスや電車の乗換に失敗したら、ここに行くのをやめてここに行こう
台風で電車が止まったらここで宿泊しよう
そういう選択肢をできる限り用意した。
下調べにこんなに時間がかかったのは、移動手段が電車だったからだった。
自転車や車なら、ネカフェやビジホに泊まることは基本ないし、乗り継ぎもない。
電車は移動が快適な分、旅の準備に予想以上に時間がかかった。
行きたいところは調べれば調べるほど出てくる。
きりがない。
そこがどんな場所なのか調べて、距離的に電車でアクセスできるのか見て、乗換がスムーズにいくのか確認する。
一つの場所を調べるだけで時間がかかる。
そして、それを旅先に追加すれば、予定を組み直すことになる。
時間はいくらあっても足りなかった。
移動中は常に予定の確認
下調べに時間をかけているうちに、旅の日に。
結局はなるようにしかならないと腹を決め、旅に出る。
だが、旅の間も、常に予定の確認に追われた。
できる限りいろいろな場所に行こうと、予定を詰めすぎたのも良くなかった。
当初の予定では、移動中は電車の中で寛いだり、仮眠を取ったり、本を読んだり、メモや日記を書いたりするつもりだった。
だが、実際はずっと行程表とにらめっこだった。
次の目的地までの乗換や駅からのルート、回る順番や滞在時間などを確認し、時間があれば翌日の予定も確認。
旅をした夏はいつ台風で予定が狂うか分からないので、常に天気もを気にしていた。
旅をする前の電車日本一周の旅は、こんなイメージだった。
慌ただしい仕事から解放され、見知らぬ土地でただただ暇を弄び、長閑な田舎の駅でのんびりとベンチに座り、次の電車が来るまでぼんやりと寛ぐ。
セミの声を聴きながら今までの人生を振り返ったり、これからのことを考えたりし、旅で見たものを思い出したり、これから見るものを調べたり。
時間に追われることなく、自由にのんびりと、贅沢な時間を過ごせる魅力があるのだと…。
しかし現実は違い、「自分で決めた行程に縛られる」という皮肉な状況だった。
車内で眠くなる時は辛かったし、車窓から素晴らしい景色が続いても、それを楽しめなかった。
写真や動画を撮ったり、ぼんやりと綺麗な景色を楽しんだり。
予定が気になって、景色を楽しめなかったことが多かった。
そんな大変な思いをして移動しても、行った先が大した見所のない、がっかりスポットだったことも少なくない。
やり切れなさを感じ、旅がつまらないと思うようになった。
予定を修正する
それだけ準備しても、予定通りにはいかないもの。
台風で予定を変える
道に迷う
予定よりも目的地に着くのに時間がかかる
ネットカフェでシャワーに入れない
コインランドリーや食事を予定していた店が潰れている
体調を崩す
なんてことがあった。
天候や道に迷うのは想定内だから割り切れるが、歩いてみたら予定よりも時間がかかるのは、始めの方はかなり苛々した。
これも2015年の当時は、結構あった。
ネットの所要時間が30分と表示されていても、実際は45分歩くことが珍しくはなかった。
往復だと30分のオーバーになるから、その分、観光地を急ぎ足で歩く羽目になる。
観たかったものを諦めたこともあり、そんな時は、心底やりきれなくなる。
閉店にうんざりする
同様にうんざりしたのが、コインランドリーや食事処の閉店。
食事はまだ他の店で食べれば済むからいいが、コインランドリーは辛い。
予定していた日に洗濯できないと、次に洗うのは3日後になる。それまで一度着たものを…となる、夏の時期に。
一度、駅から30分以上歩いて辿り着いたコインランドリーが、跡形もなく別の建物になっていたことがあった。
その時は、さすがにやり切れなくなり、ビールを買って飲みながら別の所に行った。
下調べの際に、別のコインランドリーを抑えておいてよかったと、心底ほっとした。
体調を崩す
体調を崩すことも数回あった。
想定内だったが、理由が理由だと、これも堪える。
自分の過失ならいい。体力がなかったり、酒を飲んで薄着で寝たり、といった自分の不注意なら仕方ない。
だが、泊まったネットカフェで目が覚めたら、いつの間にか冷房がガンガンになっていて、風邪を引いた時は、やりきれない思いだった。
普段滅多なことでは体調を崩さなだけに、そういうことがあると、うんざりする。
衛生面でストレスを感じる
地方では、まともな宿泊設備のない場所があるのも実情だ。
入店してから、シャワーが使えないと分かったネットカフェが数軒あった。
下調べの時にシャワーが使えるとサイトに載っていたからその店を選んだのに、いつの間にかシャワーのサービスが終了しているのだ。
(近々閉店するからシャワーを辞めたという店もあった)
電車で移動するとは言え、真夏に旅をする訳で、翌日の夜までシャワーに入れないのは、かなりのストレスで、参る。
コンタクトレンズも、かなりストレスだった。
使い捨てでなく、毎日洗浄して同じものを使るハードレンズだったが、洗えないネットカフェもあった。
トイレに洗面所がなかったり、水を止める栓がなかったり、詰まっていたりと。
大抵、そんな店は数年後に潰れているが、少なくはなかった。
他に、田舎の駅は冷房がなく、暑くて地獄だった。
ネットカフェで、シャワーを予約したのに、店員が呼びに来ず、退店時間が遅れ、無駄な延滞料金を払わされたこともあった。
まとめ
旅では大変だったこと、不快だったことが結構あった。
嫌なことは、なるべく忘れるようにしたが、特に地方では、そういう体験が多かった。
お店での接客が悪い所が少なくなかった。
ネカフェや飲食店、駅のコンビニなどで。
旅が辛く、疲れたのは、お金をケチったのも原因だった。
ネカフェになど泊まらず、ビジホにすれば、もっと快適に旅ができた。
予定も欲張って詰め込み過ぎたのが、良くなかった。
そんな反省もあった。


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