微生物が発酵させる珍しい日本のお茶 後発酵茶

食文化
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お茶と言えば、緑茶・麦茶・ほうじ茶・ジャスミン茶・烏龍茶・紅茶などを思い浮かべる人が多いかと思います。
スーパーやコンビニで売られお茶のペットボトル飲料の大半は、そうしてものですが、日本には後発酵茶(こうはっこうちゃ)という、微生物によって発酵させる特殊なお茶があります。

日本には4種類の後発酵茶がありますが、今回は後発酵茶を、それぞれとの比較も兼ねて、ご紹介します。

2年くらい前に記事を書きましたが投稿するのをずっと忘れており、一部当時の写真が見つからず画質が粗いものがありますが、ご了承ください。

後発酵茶とは

後発酵茶(こうはっこちゃ)とは、カビ乳酸菌などの微生物によって発酵させたお茶です。
この微生物を使っている点が、他の一般的なお茶との違いです。

一般的なお茶は微生物を使わず、お茶の葉を発酵させるかさせないかで種類が分かれます。
お茶の葉を発酵させたのが紅茶、発酵させないのが緑茶や麦茶、ほうじ茶などの一般的にお茶と聞いて多くの人がイメージするお茶、そして半分発酵させた半発酵茶が烏龍茶です。

発酵させるかさせないかは、熱処理のタイミングで決まります。緑茶や麦茶は、お茶の葉を摘んだ後に直ぐに熱を加えて発酵を止めています。

後発酵茶は葉を摘んだ後に直ぐに熱処理をして葉っぱ自体の発酵を止めますが、その後に微生物を付けて発酵させます。
ここが他のお茶との製造過程における違いです。

味は酸味があり苦味が無いのが特徴で、日本には四種類の後発酵茶があります。
後ほど紹介しますが、阿波晩茶・碁石茶・石鎚黒茶・バタバタ茶です。

補足
・普通のお茶は大半が不発酵茶に属します。
お茶の葉を摘み取った後に、蒸したり茹でたり天日干しにしたりして、酵素の働きを止めて、葉が発  酵しないようにして作られています。
・日本のお茶ではありませんが、プーアール茶も後発酵茶です。

どんな効果があるのか

ネットで調べる限り、後発酵茶の一般的な効用は体を温めることと紹介されていますが、
結論は分かりませんでした。

そもそもの前提に疑問があり、
緑茶にはカフェインが含まれていて利尿作用があるから、おしっこが増える。
すると体温が下がる。だから体を冷やす。
後発酵茶には利尿作用がないから体を冷やさない。
と書かれているものがありました。

確かに緑茶には利尿作用があり排泄によって体温が下がりますが、これは一時的なものです。
緑茶に体を冷やす物質が入っている訳ではありません。
排泄が問題ならデカフェの温かいお茶や白湯を飲めばいいことになります。

後発酵茶は発酵食品だから体にいいのだ、という意見もありますが、お茶に含まれているどの成分がどのように体にいい効果をもたらすのかは、まだはっきりとは分かっていないようです。

ですので効能は分かりません。今回は体にいいものの紹介ではなく、日本にある珍しいお茶の紹介として、記事を進めていきます。

それぞれの後発酵茶の簡単な比較

左から阿波晩茶・碁石茶・石鎚黒茶・バタバタ茶です。

阿波晩茶
産地:四国徳島県
製法:乳酸菌で発酵

碁石茶
産地:四国高知県
製法:カビと乳酸菌で発酵(阿波晩茶よりも発酵の回数が多い)

石鎚黒茶
産地:四国愛媛県
製法:カビと乳酸菌で発酵(阿波晩茶よりも発酵の回数が多い)、発酵と発酵の間に茶葉を揉む工程が入っている。
碁石茶にはこの工程がない。

バタバタ茶
産地:富山県
製法:カビで発酵

産地以外の違いでは、発酵に使っている菌の種類と発酵の回数に違いがある、と考えれば分かりやすいかと。

それぞれの後発酵茶の説明と飲み比べてみた感想

阿波晩茶

徳島県那賀郡那賀町(旧相生町域)と勝浦郡上勝町で作られています。

乳酸菌後発酵茶で、石鎚黒茶や碁石茶よりもさっぱりとしていて、後発酵茶ならではの癖(酸味)も弱いです。
発酵回数が少ないためそうなっていると思われます。

阿波番茶とも書いていましたが、番茶と区別するために阿波晩茶と書くようなったとも、
また、柔らかい新芽を発酵させると溶けてしまうため、摘み取る時期を遅くしていることから、阿波晩茶と書くようになったとも言われています。

香りは酸っぱい匂いがします。
味は土臭い味がし、少し酸味があります。

阿波晩茶は梅干しを入れてお茶漬けにしたり、焼酎のお茶割りに使うのもいいようです。

碁石茶

高知県大豊町で作られているお茶です。

かつては嶺北地方の主要産物の一つとして、瀬戸内地方を中心に出荷され塩と交換していたようです。
瀬戸内地方では碁石茶を茶粥にして食していたようです。
水道の発達していない時代は、飲み水が井戸の溜め水でしたが、瀬戸内では塩分濃度が高いために、お茶で中和していたのだとか。

裏面には「江戸時代から日本で唯一の秘伝の製法でつくられた完全発酵茶で幻のお茶と言われる貴重なお茶です」と書かれていますが、幻と言われるのは、時代の変遷の中で生産農家が激減し、一軒までに減少したからとも言われています。
現在ではこの伝統を守り続けている農家は七~八軒ほどとなっています。

香りは酸っぱい匂い甘い香りがあり、コクのある香りがします。
阿波晩茶よりもしっかりとしたコクのある強い香りがするのですが、これから紹介する石鎚黒茶よりも少し香りが強いです。

味ですが、酸味の強いお茶です。
淹れたては土臭さや葉の匂いがしますが、冷めていくと次第に弱くなります。
水筒に入れて職場に持って行ったことがありますが、時間が経つと香りが無くなり酸味が増しました。
酸味の方も、碁石茶の方が石鎚黒茶よりもあります。

石鎚黒茶

愛媛の西条で作られているお茶です。

他の後発酵茶にはない特徴として、お茶を作る際に「揉む」工程があります。
カビ付けによる発酵と乳酸菌による発酵の間に、茶葉を揉む工程があります

石鎚黒茶も碁石茶と同様に、生産地周辺ではほとんど飲まれず、瀬戸内地方に出荷されていたようです。
塩分が混じりがちな瀬戸内地方の井戸水と黒茶は相性が良かったそうです。

茶粥用としてだけでなく、漁に使う網などの茶渋染めにも使われることがあり、瀬戸内の船主たちに売っていたのだそうです。

香りは酸っぱい匂い甘い香りがあり、コクのある香りがします。
阿波晩茶よりもしっかりとしたコクのある強い香りがするのですが、碁石茶よりは少し香りが弱い印象です。

味ですが、酸味の強いお茶です。
こちらも淹れたては土臭さや葉の匂いがし、冷めていくと次第に弱くなります。
酸味の方も、碁石茶より弱く感じます。

バタバタ茶

四国ではなく富山の後発酵茶です。
富山県の蛭谷(びるだん)という土地で作られているお茶です。
和紙が有名みたいです。

麹菌の働きで発酵させて作ります。
四国の後発酵茶が乳酸菌で発酵しているのと、ここが違います。
伝統的には五郎八茶碗というお碗で点て、塩を少しいれ茶筅で泡立てて飲むようです。

バタバタ茶の名前は、茶筅を振る動作があわただしいことから、バタバタ茶と名付けられたようです。
2本の茶筅を用いるので、ぶつかり合う音からバタバタ茶と言われるようになったとも。

見た目は白いカビのようなものが付いています。
お茶を発酵させた菌です。

香りは土臭い匂いがします。
味も土臭さのあるお茶です。
乳酸菌で発酵させていないので、酸味がありません

総評

後発酵茶は体を温める効果が期待できるので、冬にお勧めのお茶と紹介されることが多いですが、夏に飲むのもいいかと思います。
四国の後発酵茶も富山のバタバタ茶も、塩を入れて飲むという飲み方があるので、塩分補給によさそうです。

また室内では冷房で体が冷えがちになるので、体を温めると言われている後発酵茶を飲むのもいいのではないかと思います。
酸味が苦手でない方は、碁石茶や石鎚黒茶はさっぱりとしていて夏にもいいのではないかと思います。

買える場所や値段

最後に買った場所と値段を書きますが、2020年1月時点のものなのであくまで参考程度にしていただければと思います。4つとも東京のアンテナショップで買いました。購入を考えている方は事前にお店にお問い合わせされた方がよろしいかと思います。

値段は
阿波晩茶:50g 570円
碁石茶:20g 1200円
石鎚黒茶:40g 1600円
バタバタ茶:100g 600円
(2020年1月時点の情報)

買ったお店(アンテナショップ)は
阿波晩茶:徳島・香川トモニ市場(有楽町駅)
碁石茶:まるごと高知(有楽町駅)
石鎚黒茶:香川・愛媛せとうち旬彩館(新橋駅)
バタバタ茶:いきいき富山館(有楽町駅)
(2020年1月時点の情報)

です。

ネットで見ると、ふるさと納税で各県が返礼品としているので、ふるさと納税もいいかと思います。
(ふるさと納税は2023年12月時点の情報)

徳島・香川トモニ市場(有楽町駅・東京交通会館内)

まるごと高知(有楽町駅)

香川・愛媛せとうち旬彩館(新橋駅)

いきいき富山館(有楽町駅・東京交通会館内)

ついでですが、東京交通会館には北海道、秋田県、富山、大分、博多、和歌山のお店もあります。


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