【奈良県】世界遺産法隆寺の魅力②南大門と中門

奈良県
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南大門の鯛石

法隆寺の入口、南大門の前には、鯛石と呼ばれる石がある。

法隆寺を水害から守る石と云われ、これまで大雨が降り、近くを流れる大和川が氾濫しても、この石より上に水がくることがなかったいわれている。

後ろを見てみると確かに周りよりも高くなっている。

礎石建築

南大門の柱は礎石の上に立っている。
法隆寺は現存する世界最古の木造建築物で知られる寺院なので、寺院建築についてもふれておきたいと思う。

中門の回廊の礎石

法隆寺の五重塔や金堂は建物の柱が礎石という自然石の上にのっている。
飛鳥時代に仏教が伝来するまでは、神社では柱を土の中に埋めた掘立柱建築だったが、大陸から仏教が伝わると寺院では屋根に重い瓦を葺き、礎石を土台にして柱で支える建築方法が使われるようになった。
この礎石建築により重い屋根を支えることができまた柱が沈んだり土の中で腐ることがなくなった。

全ての寺院の礎石がそうなのかは分からないが、法隆寺では柱の底を礎石の表面に合わせて削りのせている。

それにより柱と石がピタッと重なり、一度建てたらびくともせず、重い瓦を支え、地震がきても倒壊しないようになっている。

眼に見えない所で細かな技術が使われている。

南大門

南大門は室町時代に造られた門。
僧同士の争いで焼かれ消失し、再建した。

これより先にある古い建物は全て室町時代よりも前の時代に造られたもので、門をくぐるとあたかも昔にタイムスリップしたかのような感覚を覚える。

南大門の先には何とも雰囲気のいい土塀が目に入る
(土塀については別の記事紹介)

中門

南大門をくぐり土塀に囲まれた参道を歩くと正面に中門がある。

金堂と五重塔と囲む回廊の正面で、飛鳥時代に造られた門。
仁王像は奈良時代に造られた日本最古の金剛力士像。

普通、お寺の門は出入り口が一つか三つだが、この門は二つ。
門の真ん中に柱が立っている不思議な造りは謎とされている。

右の阿像は、粘土を自然乾燥させて造った塑像で長い間風雨にさらされながら当時の面影を残している。

左の吽像は木像。

以前来た時は顔の一部が塑像で、修理の際にくっつけられた木像との色の違いが素晴らしかったが
その後の改修により同じ素材になっている。

改修が行われた時期は分からないが、2015年の夏は、塑像と木造を合わせた吽像を観ることができた。

2015年8月撮影

現在の吽像は木像だが、これはこれで右の阿像と同様に風化した様子となっており、改修技術の高さがうかがえる。
もしかしたら削げ落ちた塑像の部分に別の木を組み込んで繋ぎ目が分からないように改修しているのかもしれない。

それにしても塑像の阿像が現在もまだ立ち続けているのには驚く。
木の骨組みに土をかぶせて造る脆い塑像が千年以上もの間、風雨にさらされる場所で現存しているのは奇跡。
上から粘土を重ねて補修していて造営時の姿は見れないが、それにしても凄い。

回廊の中の有料ゾーン

中門の中の回廊に囲まれたここから先は有料ゾーンとなる。
拝観料は訪れた時は1500円だったが、令和7年(2025年)3月から2000円に上がるとのこと。

拝観料は3カ所の共通券となっていて、西院伽藍の回廊の中と宝物殿の大宝蔵院、そして東院伽藍の夢殿と、それを囲む回廊の中に入ることができる。

この中門の中の回廊に囲まれた部分が世界最古の木造建築が残る場所となる。
法隆寺には国宝の木造建築が回廊の外にもあるが、この回廊と中門それに囲まれた金堂と五重塔が特に古く有名で見どころが多い。

奈良時代以前の堂塔伽藍をこれだけ完全な形で残す寺院は他にはない。
古代の伽藍がほぼ完全な形で残されているのは法隆寺だけだ。
拝観料が高く感じられるかもしれないが一見の価値がある。

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