【奈良県】世界遺産法隆寺の魅力④1300年も地震・雷・火事・台風の被害を免れた奇跡の建造物 五重塔

奈良県
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金堂の隣にある五重塔は、法隆寺のシンボルともいえる塔で、高さが約32.5mある日本最古の塔。
五重塔は地・水・火・風・空の五大をかたどっているといわれている。

装飾上の特徴は卍くずしと呼ばれる高欄と、雲斗や雲肘木で、金堂でも見られるがいずれも法隆寺周辺にある古寺でしか見ることができない。

裳階(もこし)も金堂と同様、創建当初はなく
風雨から建物を守るために付け足されたとされている。

塔は元はお釈迦様の遺骨を納めるストゥーパ、卒塔婆(そとうば)とも言う、がインドから中国や日本に伝わる過程で五重塔や三重塔になった。

法華経の一つの考えに、塔自体が仏であるという考え方があり、聖徳太子は塔や寺を造ることでこの国を仏国土(ぶっこくど)、仏の住む国にしようとしたのではないかと言われている。
『週刊古寺を行く 法隆寺』より

五重塔が凄いのが、1300年以上も地震や台風に耐えてきたことだ。
記録に残るだけでも畿内には大地震が40回以上あったというが、それでも倒壊しなかったのは凄いとしか言いようがない。

塔の中心に「心柱(しんばしら)」と呼ばれる一本の柱が通っていて、それが振子となり、倒壊を防いでいるといわれているが、建物全体が揺れの際に塔を支えるように造られているから、地震に強いともいわれている。

建物をきっちり組まず、建物が地震の揺れに抵抗せず、揺れている間に柱や壁が揺れを吸収する造りになっており、そいういう建物を柔らかい構造と書いて「柔構造」というようだ、

壁の役割も大きく、仕切りとしての機能ではなく、
壁が塔に架かる負荷を和らげ、地震や風から塔を守っているという。

そして地震だけでなく、雷から被害を免れてきたのはまさに奇跡としか思えない。
五重塔に避雷針が付けられたのは大正時代になってからのことで、明治時代まではなかった。

塔の一番上にある相輪は金属なので雷が落ちることがある。
現に、実際に鎌倉時代に雷が落ちて二重目から火が噴き出し、大工の懸命な消火により鎮火されている。

そんなことがあったのでその後、雷除けとして法輪に4本の鎌が付けられ、そのうちの2本が現在も残っているといわれている。

相輪は3トンの重さがあるという。
塔の上部の屋根は上からの負荷がないと風に弱く飛ばされてしまうので、それくらいの重さが必要なのだそうだ。

この長くて重い相輪と、大量の重い瓦を支えるだけの土台があるのも、五重塔が地震や風の被害を免れてきた理由。

地盤のしっかりした所まで土を掘り、良質の粘土を一寸約3センチぐらいつき固め、上に砂を置き、また粘土を突き固めてと、それを繰り返して頑丈な土台を造っている。
だから重さに耐えることができ、地震や大風で建物が揺れても崩れることがない。
※出典:『木に学べ』

二重基壇だが、基壇が高いのは建物への水の浸入を防ぐため、また水はけを良くするためといわれている。

五重塔も中を観ることができ、お釈迦様の説話の場面を表した塑像がある。
奈良時代の和銅4年711年に造られたもので、こちらも五重塔の見どころの一つ。

重塔を観る際に是非見ていただきたいのが、この一直線に並ぶ隅木(すみき)である。
瓦屋根の負荷が一番かかる隅木が1300年経っても真っ直ぐに形を維持しているのは、木のクセを見抜いてうまく組み上げているからである。
曲がった木を削って真っすぐに見せるだけだと時間が経つと曲がり形が崩れてしまう。

五重塔や金堂は木のクセや特性を熟知した大工による、高い建築技術で造られているので、今もなお現存している。
『木に学べ』

五重塔は金堂よりも木材の質が悪い。
金堂でいい木を使ったため塔では質の劣る木を使わざるを得ず、それを技術で補っている。

それにしても1300年ものあいだ、地震・雷・火事・台風の被害を免れ、現存しているのは凄い。
特に雷、千年以上も。
ただただ感動するだけだ。

参考文献

『木に学べ』

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