世界遺産唐招提寺の魅力③鼓楼・礼堂・東室・宝蔵・経蔵、舎利信仰

奈良県
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この記事では唐招提寺の金堂・講堂以外の建物の魅力を紹介する。

鼓楼(ころう)

金堂と講堂の隣に建つ鼓楼は、唐招提寺で唯一の2階建ての建築物で、鎌倉時代の仁治元年1240年に造られた国宝。

かつては向かいの鐘楼とともに、時を知らせるために使われていたので、鼓楼と呼ばれている。
太鼓を鳴らして時を知らせたので、太鼓の楼で鼓楼と思われる。

現在は鑑真請来の仏舎利を奉安しているため、舎利殿(しゃりでん)とも呼ばれている。
※請来:仏像・経などを請い受けて外国から持って来ること

礼堂

鼓楼の隣の細長い建物の南側は礼堂。
鎌倉時代に造られた入母屋造りの建物で、鼓楼を礼拝するためのお堂なので礼堂と呼ばれている。

その北側は東室といい、間に馬道(めどう)と呼ばれる一間の通路がある。

この細長い礼堂と東室は、かつては学問に励む僧たちが暮らした僧坊で、僧坊は向かいにもあった。

舎利信仰と五重塔

鑑真は3000粒の仏舎利を請来し、舎利信仰を日本にもたらしたといわれている。

火葬して分骨されたお釈迦さまの骨は、その色形が白くてお米を連想させることから、お米のことをシャリと言うようになったという。

現在の私たちが使っている日本語は仏教から生まれた言葉が多いが、シャリもその内の一つ。

お米は仏の生まれ変わりと考えられていた、ともいわれている。
てっきり神道(清潔・清浄・再生を重視する)の考えかと思ってえいたが、仏教の考え方が元になっているらしい。

唐招提寺では仏舎利を御本尊として修める、舎利悔過法要(けか)が行われている。
『古寺をゆく4 唐招提寺』より

舎利信仰とは、お釈迦様の遺骨である舎利を納めた仏塔を崇拝することで、仏舎利信仰がやがて高くそびえる舎利塔に発展する。
※『古寺をゆく4 唐招提寺』より

かつては唐招提寺も他の奈良の古寺と同様に五重塔があり、平安時代初期の弘仁元年810年に建立され、江戸時代の享和2年1802年に落雷で焼失するまで、約千年もの間 西の京にそびえ立っていた。

舎利信仰は、日本では鑑真以前に仏舎利が伝わっていたものの
、既に仏像が作られていたので信仰の中心にはならなかった。

後に空海がさらに多くの仏舎利を真言密教とともに持ち帰り、日本において仏舎利信仰が再燃し、仏塔だけでなく舎利容器に収めたものを室内でも礼拝するようになる。

なので、もしかしたら唐招提寺も室内で仏舎利を御本尊を祀るのはその時からなのかもしれない。

ついでに薬師寺の講堂で紹介した仏足石も、本来は仏像が作られる前に信仰されていたが、日本では既に仏像があったから広まらなかった。

日本に仏教が伝わった時に、仏像も一緒に伝わったため、舎利や仏足石を信仰の対象とする時期がなかったらしい。

日本の寺院には仏舎利が安置されている寺院が少なくなく、その数、数百とも言われる。

以前までは「実物がそんなにあるはずがない」と思っていた。
しかし鑑真が3千粒の仏舎利を請来し、空海がさらに多く持ってきたとしたら、あながち嘘でもないとも思える。

あくまで舎利は本物かどうかが重要ではなく、象徴として扱われた側面があることの方が割合が大きいと思うが。

骨と判明されているのは愛知県にある覚王山日泰寺(名古屋市、無宗派)だけと言われている。

宝蔵・経蔵

礼堂(らいどう)の隣には宝蔵がある。

宝蔵は唐招提寺が創建された天平宝字3年(759年)に建てられた、校倉造り(あぜくらづくり)の倉庫。

宝蔵の隣の一回り小さい経蔵は、創建以前にあった米倉を改造したものといわれ、唐招提寺の中で最も古い建造物であり、日本で最古の校倉。

宝蔵も経蔵も国宝。

唐招提寺ができてから現在まで、1300年もの長い間この地にあり続け、当時の姿をとどめている。

それを知るともの凄い建物に思える。

校倉の凄いところは、木に何も塗っていないのに、奈良時代のものがまだ残っているところだ。
土壁などの囲いもない。

校倉は中国から伝わった建築方法ではなく、日本独自で編み出された造り方といわれている。

建物にかかる重さの大半をこの校木(あぜき)が受けるので、隙間ができる余地などはないそうだ。

昔は、校倉造りは天候に合わせて木が膨張・収縮して、中の温度・湿度を一定に保っていると言われていたが、これには科学的根拠はないと、今では言われています。

余談だが、昭和50年代に生まれた自分は、小学生だったか中学生だったか、先生から誤った校倉造の説明を受けた覚えがある。
木が収縮するから国宝を守ってきたんだ、凄いんだ、と。
でも残念なことに、当時既に、中公文庫の日本の歴史などで校倉造の間違いは指摘されており、大人になって知ってから残念な思いが増した。

新宝蔵

新宝蔵は宝物類を収納・展示する施設。
開館期間は3月1日~6月30日、
9月1日~11月30日、12月31日~1月3日
と8月10日頃に数日間の臨時開館がある。

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